数枝さん、あなたは覚えていますか、忘れたでしょうね、あなたが、女学校を卒業して東京の学校へいらっしゃる時、あの頃はちょうど雪溶けの季節で路がひどく悪くて、私があなたの行李を背負って、あなたのお母さんと三人、浪岡の駅まで歩いて行きました。
路傍にはもう蕗の薹などが芽を出していました。
あなたは歩きながら、山辺も野辺も春の霞、小川は囁き、桃の莟ゆるむ、という唱歌をうたって。
数枝さん、あなたは覚えていますか、忘れたでしょうね、あなたが、女学校を卒業して東京の学校へいらっしゃる時、あの頃はちょうど雪溶けの季節で路がひどく悪くて、私があなたの行李を背負って、あなたのお母さんと三人、浪岡の駅まで歩いて行きました。
路傍にはもう蕗の薹などが芽を出していました。
あなたは歩きながら、山辺も野辺も春の霞、小川は囁き、桃の莟ゆるむ、という唱歌をうたって。