父がひとり東京に踏みとどまって頑張って、あたしだけ、兄のところへやっかいになりに来たのだけれども、本当にあたしには何も無いのよ。
何も無いから仕方なくこんないやらしい派手な着物なんかを行李の底から引っぱり出して着ているのだけど、田舎の人たちの眼から見ると、あたしたちがおそろしくぜいたくなお洒落の衣裳道楽をしているみたいに見えているんじゃないかしら。
ところが、それはあべこべで、地味な普段着も何も焼いてしまって、こんな十六、七の頃に着た着物しか残っていないので、仕方なく着ているのだわ。
父がひとり東京に踏みとどまって頑張って、あたしだけ、兄のところへやっかいになりに来たのだけれども、本当にあたしには何も無いのよ。
何も無いから仕方なくこんないやらしい派手な着物なんかを行李の底から引っぱり出して着ているのだけど、田舎の人たちの眼から見ると、あたしたちがおそろしくぜいたくなお洒落の衣裳道楽をしているみたいに見えているんじゃないかしら。
ところが、それはあべこべで、地味な普段着も何も焼いてしまって、こんな十六、七の頃に着た着物しか残っていないので、仕方なく着ているのだわ。