先生は、力のかぎりめちゃくちゃに茶筌で掻きまわしたものらしく、三畳間は薄茶の飛沫だらけで、そうして、しくじってはそれを洗面器にぶちまけていたものらしく、三畳間のまん中に洗面器が置かれてあって、それには緑の薄茶が一ぱいたまっていた。
なるほど、このていたらくでは襖をとざして人目を避けなければならぬ筈であると、はじめて先生の苦衷のほどを察した。
けれどもこんな心細い腕前で「主客共に清雅の和楽を尽さん」と計るのも極めて無鉄砲な話であると思った。
先生は、力のかぎりめちゃくちゃに茶筌で掻きまわしたものらしく、三畳間は薄茶の飛沫だらけで、そうして、しくじってはそれを洗面器にぶちまけていたものらしく、三畳間のまん中に洗面器が置かれてあって、それには緑の薄茶が一ぱいたまっていた。
なるほど、このていたらくでは襖をとざして人目を避けなければならぬ筈であると、はじめて先生の苦衷のほどを察した。
けれどもこんな心細い腕前で「主客共に清雅の和楽を尽さん」と計るのも極めて無鉄砲な話であると思った。