こんどは私だけでなく、妻も園子(一年四箇月の女児)もみんなを一緒に連れて行って下さるというのである。
北さんと中畑さんの事は、あの「帰去来」という小説に、くわしく書いて置いたけれども、北さんは東京の洋服屋さん、中畑さんは故郷の呉服屋さん、共に古くから私の生家と親密にして来ている人たちであって、私が五度も六度も、いや、本当に、数え切れぬほど悪い事をして、生家との交通を断たれてしまってからでも、このお二人は、謂わば純粋の好意を以て長い間、いちどもいやな顔をせず、私の世話をしてくれた。
昨年の夏にも、北さんと中畑さんとが相談して、お二人とも故郷の長兄に怒られるのは覚悟の上で、私の十年振りの帰郷を画策してくれたのである。