私はたいへんな問題に足を踏みいれてしまったようである。
はじめは、こんなことを言うつもりじゃなかった。
In a word という小題で、世人、シェストフを贋物の一言で言い切り、構光利一を駑馬の二字で片づけ、懐疑説の矛盾をわずか数語でもって指摘し去り、ジッドの小説は二流也と一刀のもとに屠り、日本浪曼派は苦労知らずと蹴って落ちつき、はなはだしきは読売新聞の壁評論氏の如く、一篇の物語(私の「猿ヶ島」)を一行の諷刺、格言に圧縮せむと努めるなど、さまざまの殺伐なるさまを述べようと思っていたのだが、秋空のせいか、ふっと気がかわって、われながら変なことになってしまった。