舞台よりも、かず枝の姿のほうを多く見ていた。
黒い風呂敷包を胸にしっかり抱きかかえて、そのお荷物の中には薬品も包まれて在るのだが、頭をあちこち動かして舞台の芸人の有様を見ようとあせっているかず枝も、ときたまふっと振りかえって嘉七の姿を捜し求めた。
ちらと互いの視線が合っても、べつだん、ふたり微笑もしなかった。
舞台よりも、かず枝の姿のほうを多く見ていた。
黒い風呂敷包を胸にしっかり抱きかかえて、そのお荷物の中には薬品も包まれて在るのだが、頭をあちこち動かして舞台の芸人の有様を見ようとあせっているかず枝も、ときたまふっと振りかえって嘉七の姿を捜し求めた。
ちらと互いの視線が合っても、べつだん、ふたり微笑もしなかった。