「知ってる癖に。
「十九だったね。
と母は落ちついて、「あたしがこの家にお嫁に来たのは、お父さんが十九、お母さんが十五の時でしたが、お前のお父さんたら、もうその前から道楽の仕放題でねえ、十六の時から茶屋酒の味を覚えたとやらで、着物の着こなしでも何でも、それこそ粋でねえ、あたしと一緒になってからも、しばしば上方へのぼり、いいひとをたくさんこしらえて、いまこそあんな、どっちを向いてるのだかわからないような変な顔だが、わかい時には、あれでなかなか綺麗な顔で、ちょっとそんなに俯向いたところなど、いまのお前にそっくりですよ。