人間、三十四、五の頃は最も自惚れの強いものだそうであるが、それでなくともこの浅田は、氏育ち少しくまされるを鼻にかけ、いまは落ちぶれて人足仲間にはいっていても、傲岸不遜にして長上をあなどり、仕事をなまけ、いささかの奇智を弄して悪銭を得ては、若年の者どもに酒をふるまい、兄貴は気前がよいと言われて、そうでもないが、と答えてまんざらでもないような大馬鹿者のひとりであった。
かれはこの時、人足たちと共に片手に松明を持ち片手で川底をさぐっているような恰好だけはしていたが、もとより本気に捜すつもりはない。
いい加減につき合って手間賃の分配にあずかろうとしていただけであったのだが、青砥は岸に焚火して赤鬼の如く顔をほてらし、眼をむいて人足どもを監視し、それ左、それ右、とわめき散らすので、どうにも、うるさくてかなわない。