詐術はかならず露顕するもののようである。
さすがの浅田も九文落したのに十一文拾った事に就いて、どうにも弁明の仕様が無かった。
青砥は烈火の如く怒り、お上をいつわる不届者め、八つ裂きにも致したいところなれども、川に落した九文の銭の行末も気がかりゆえ、まずあれをお前ひとりで十年でも二十年でも一生かかって捜し出せ、ふたたびあさはかな猿智慧を用い、腹掛けなどから銭を取出す事のないように、丸裸になって捜し出せ、銭九文のこらず捜し出すまでは雨の日も風の日も一日も休む事なく河原におもむき、下役人の監視のもとに川床を残りくまなく掘り返せ、と万雷一時に落ちるが如き大声で言い渡した。