世はさまざま、〆て三、四十両の支払いをすます事も出来ずに大晦日を迎える家もあり、また、わしの家のように、呉服屋の支払いだけでも百両、お金は惜しいと思わぬが、奥方のあんな衣裳道楽は、大勢の使用人たちの手前、しめしのつかぬ事もあり、こんどは少しひかえてもらわなくては困るです。
こらしめのため、里へかえそうかなどと考えているうちに、あいにくと懐姙で、しかも、きょうこの大晦日のいそがしい中に、産気づいて、早朝から家中が上を下への大混雑。
生れぬさきから乳母を連れて来るやら、取揚婆を三人も四人も集めて、ばかばかしい。