ばばさまの面影などが出ては、たまりません。
こんな味気ない夜には、お酒でもあると助かるのですが、この辺の地酒は、へんにすっぱくて胸にもたれ、その上、たいへん高価なので、いまいましく、十日にいちど五合くらい買って我慢しています。
この山里の人は、何かと慾が深く、この下の渓流には鮎がうようよいて、私は出家の身ながら、なまぐさを時たま食べないと骨ばなれして五体がだるくてたまらなくなりますので、とって食おうと思い、さまざま工夫してみましたが、鮎もやはり生類、なかなかすばしこく、不器用な私にはとても捕獲出来ず、そのような私のむだな努力の姿を里人に見つけられ、里人は私のなまぐさ坊主たる事を看破致し、それにつけ込んで、にやにや笑いながら鮎の串焼など持って来て、おどろくほど高いお金を請求いたします。