私は、どうも気がすすまないのである。
大きい朱色の額に、きざみ込まれた望富閣という名前からして、ひどくものものしく、たかそうに思われた。
「僕も、はじめてなんですが、」幸吉さんも、少しひるんで、そう小声で告白して、それから、ちょっと考えて気を取り直し、「いいんだ。
私は、どうも気がすすまないのである。
大きい朱色の額に、きざみ込まれた望富閣という名前からして、ひどくものものしく、たかそうに思われた。
「僕も、はじめてなんですが、」幸吉さんも、少しひるんで、そう小声で告白して、それから、ちょっと考えて気を取り直し、「いいんだ。