N君は、雑誌社をよして、保険会社に勤めたが、何せ鷹揚な性質なので、私と同様、いつも人にだまされてばかりゐたやうである。
けれども私は、人にだまされる度毎に少しづつ暗い卑屈な男になつて行つたが、N君はそれと反対に、いくらだまされても、いよいよのんきに、明るい性格の男になつて行くのである。
N君は不思議な男だ、ひがまないのが感心だ、あの点は祖先の遺徳と思ふより他はない、と口の悪い遊び仲間も、その素直さには一様に敬服してゐた。
N君は、雑誌社をよして、保険会社に勤めたが、何せ鷹揚な性質なので、私と同様、いつも人にだまされてばかりゐたやうである。
けれども私は、人にだまされる度毎に少しづつ暗い卑屈な男になつて行つたが、N君はそれと反対に、いくらだまされても、いよいよのんきに、明るい性格の男になつて行くのである。
N君は不思議な男だ、ひがまないのが感心だ、あの点は祖先の遺徳と思ふより他はない、と口の悪い遊び仲間も、その素直さには一様に敬服してゐた。