まして況んや、住民の分布薄疎にして、将来の発展の余裕、また大いにこの地にありといふに於いてをや。
むく鳥、鴨、四十雀、雁などの渡り鳥の大群が、食を求めてこの地方をさまよひ歩くが如く、膨脹時代にあつた大和民族が各地方より北上してこの奥州に到り、蝦夷を征服しつつ、或ひは山に猟し、或ひは川に漁して、いろいろな富源の魅力にひきつけられ、あちらこちらと、さまよひ歩いた。
かくして数代経過し、ここに人々は、思ひ思ひの地に定著して、或ひは秋田、荘内、津軽の平野に米を植ゑ、或ひは北奥の山地に殖林を試み、或ひは平原に馬を飼ひ、或ひは海辺の漁業に専心して以て今日に於ける隆盛なる産業の基礎を作つたのである。