などといふ、もつたいないやうな、また夢のやうな事も、平易の文章でさらさらと書き記されてゐるのである。
現在のこの辺の風景に就いては、この際、あまり具体的に書かぬはうがよいと思はれるし、荒唐無稽とは言つても、せめて古人の旅行記など書き写し、そのお伽噺みたいな雰囲気にひたつてみるのも一興と思はれて、実は、東遊記の二三の記事をここに抜書きしたといふわけでもあつたのだが、ついでにもう一つ、小説の好きな人には殊にも面白く感ぜられるのではあるまいかと思はれる記事があるから紹介しよう。
「奥州津軽の外ヶ浜に在りし頃、所の役人より丹後の人は居ずやと頻りに吟味せし事あり。