私たちはその巨石の前を、ことさらに急いで通り過ぎた。
故郷のこのやうな伝説は、奇妙に恥づかしいものである。
「これは、きつと、鎌倉時代によそから流れて来た不良青年の二人組が、何を隠さうそれがしは九郎判官、してまたこれなる髯男は武蔵坊弁慶、一夜の宿をたのむぞ、なんて言つて、田舎娘をたぶらかして歩いたのに違ひない。
私たちはその巨石の前を、ことさらに急いで通り過ぎた。
故郷のこのやうな伝説は、奇妙に恥づかしいものである。
「これは、きつと、鎌倉時代によそから流れて来た不良青年の二人組が、何を隠さうそれがしは九郎判官、してまたこれなる髯男は武蔵坊弁慶、一夜の宿をたのむぞ、なんて言つて、田舎娘をたぶらかして歩いたのに違ひない。