真面目な顔をして、いろいろ云いましたが、そのうちで一番面白いと思ったせいか、いまだに覚えているのは、そいつが瓦煎餅か何か食ってるところへ女が来て、私にもその御煎餅をちょうだいなと云うや否や、そいつの食い欠いた残りの半分を引っ手繰って口へ入れたという時なんです」
父の話方は無論滑稽を主にして、大事の真面目な方を背景に引き込ましてしまうので、聞いている客を始め我々三人もただ笑うだけ笑えばそれで後には何も残らないような気がした。
その上客は笑う術をどこかで練修して来たように旨く笑った。
真面目な顔をして、いろいろ云いましたが、そのうちで一番面白いと思ったせいか、いまだに覚えているのは、そいつが瓦煎餅か何か食ってるところへ女が来て、私にもその御煎餅をちょうだいなと云うや否や、そいつの食い欠いた残りの半分を引っ手繰って口へ入れたという時なんです」
父の話方は無論滑稽を主にして、大事の真面目な方を背景に引き込ましてしまうので、聞いている客を始め我々三人もただ笑うだけ笑えばそれで後には何も残らないような気がした。
その上客は笑う術をどこかで練修して来たように旨く笑った。