僕のところへ来る客は、自分もまあこれでも、小説家の端くれなので、小説家が多くならなければならぬ筈なのに、画家や音楽家の来訪はあっても、小説家は少かった。
いや、ほとんど無いと言っても過言ではない状態であった。
けれども、新宿の若松屋のおかみさんは、僕の連れて行く客は、全部みな小説家であると独り合点している様子で、殊にも、その家の女中さんのトシちゃんは、幼少の頃より、小説というものがメシよりも好きだったのだそうで、僕がその家の二階に客を案内するともう、こちら、どなた?
僕のところへ来る客は、自分もまあこれでも、小説家の端くれなので、小説家が多くならなければならぬ筈なのに、画家や音楽家の来訪はあっても、小説家は少かった。
いや、ほとんど無いと言っても過言ではない状態であった。
けれども、新宿の若松屋のおかみさんは、僕の連れて行く客は、全部みな小説家であると独り合点している様子で、殊にも、その家の女中さんのトシちゃんは、幼少の頃より、小説というものがメシよりも好きだったのだそうで、僕がその家の二階に客を案内するともう、こちら、どなた?