往来に、あるいは佇み、あるいはながながと寝そべり、あるいは疾駆し、あるいは牙を光らせて吠えたて、ちょっとした空地でもあるとかならずそこは野犬の巣のごとく、組んずほぐれつ格闘の稽古にふけり、夜など無人の街路を風のごとく、野盗のごとくぞろぞろ大群をなして縦横に駈け廻っている。
甲府の家ごと、家ごと、少くとも二匹くらいずつ養っているのではないかと思われるほどに、おびただしい数である。
山梨県は、もともと甲斐犬の産地として知られているようであるが、街頭で見かける犬の姿は、けっしてそんな純血種のものではない。