以前と違って、矢鱈に私にお追従ばかりおっしゃるので、私は、まごついて、それから苦しくなりました。
きりょうが良いの、しとやかだのと、聞いて居られないくらいに見え透いたお世辞をおっしゃって、まるで私が、先生の目上の者か何かみたいに馬鹿叮嚀な扱いをなさるのでした。
父や母に向って、私の小学校時代の事を、それはいやらしいくらいに、くどくどと語り、私が折角いい案配に忘れていたあの綴方の事まで持ち出して、全く惜しい才能でした、あの頃は僕も、児童の綴方に就いては、あまり関心を持っていなかったし、綴方に依って童心を伸ばすという教育法も存じませんでしたが、いまは違います。