幼い頃より、私はこの女性というものには、いじめられ、つらい思いをしてまいりました。
私の母は、これは継母でもなんでもなく、まことの生みの母親でございましたが、どういうものか弟のほうばかりを可愛がって、長男の私に対しては妙によそよそしく、意地わるくするのでございます。
もう私の母も、とうの昔にあの世に旅立ってしまいまして、仏に対してとやかくうらみを申し述べるのは私としても、たいへん心苦しい事ですが、忘れも致しません、私が十歳くらいで、いまのあの弟が五歳くらいの頃に、私はよそから犬の子を一匹もらって来て少し自慢そうに母と弟とに見せてやったら、弟がそれをほしがって泣きました。