すると母は、弟をなだめて、その犬の子は兄さんのごはんで育てるのだからな、と妙な事をまじめな顔で言います。
兄さんのごはんとは、どんな事だか、私が自分でたべるごはんをたべないでその犬の子に与えて養うべきだという意味だったのでしょうか、それとも、私の家でたべているごはんは、全部総領の私のものなのだから、弟などには犬の子を養う資格が無いという意味だったのでしょうか、いまでも私には、はっきり理解が出来ないのですが、とにかくそう言われて、私は子供心にもたいへんイヤな気が致しまして、むりやりその犬の子を弟に抱かせてやりますと母は、かえしてやれ、かえしてやれ、それはごはんをたべる虫だ、と弟に言うのです。
さすがに私も、しょげてしまって、その犬の子を弟から奪い取って裏のはきだめに捨てました。