ぎょっとして、あわてて精進揚げを呑みくだし、うむ、と首肯くと、その女は、連れの職工のおいらんのほうを向いて小声で、育ちの悪い男は、ものを食べさせてみるとよくわかるんだよ、ちょっちょっと舌打ちをしながら食べるんだよ、と全くなんの表情も無く、お天気の事でも言っているみたいに澄まして言うのでございます。
まあ、その時の私の間のわるさ。
連れの職工から、旦那とか色男とか言われた手前もあり、もう、どうしたらいいか、表面は何とかごまかし、泣き笑いして帰りましたが、途中で足駄の横緒を踏み切って、雨の中をはだしで、尻端折りして黙々と歩いて、あの時のみじめな気持。