けしからぬ写真や絵を売って歩いた事もございました。
インチキ新聞の記者になったり、暴力団の走り使いになったり、とにかく、ダメな男に出来る仕事の全部をやったと言っても決して言い過ぎではないかと存じます。
そうして、そのダメな男は、いよいよただおのずからダメになるばかりで、ついに単身ボロをまとって都落ちをして、いまは弟の居候という事になって何一つ見るべきところの無い生涯で、いまさら誰をも、うらむ資格も何もございませんが、けれども、それでも、ああ、あの時あの女が、あれほど私に意地悪くしなかったならば、私も多少のプライドと力を得て、ダメはダメなりに何とか形のついた男になっていたのではなかろうかしら、と老いの寝ざめに、わが幼少からの悲惨な女難のかずかずを反芻してみて、やっぱり、胸をかきむしりたい思いに駆られる事もございますのです。