と連呼し、やがて、ジャンジャンジャンというまことに異様な物音が内から聞え、それは婆が金盥を打ち鳴らしているのだという事が後でわかりましたが、私は身の毛のよだつほどの恐怖におそわれ、屋根から飛び降りて逃げようとしたとたんに、女房たちの騒ぎを聞いて駈けつけて来たおまわりにつかまえられまして、二つ三つ殴られ、それから、おまわりは月の光にすかして私の顔をつくづく見まして、なんだ、お前か、と言いました。
すぐ近くの交番のおまわりで、私とはもちろん顔馴染の仲なのです。
私は手短かに事情を申し述べますと、おまわりは、へえ、そりゃひどい、と言って笑ってしまいましたが、しかし、二階では、まだ、どろぼう!