と叫び、金盥も打ちつづけていまして、近所近辺の人たちも皆、起きて外へ飛び出し、騒ぎが大きくなるばかりでございましたので、おまわりは、蛮声を張りあげて、二階の者たちに、店の戸をあけろ!
と呶鳴りました。
それでどうやら二階の狂乱もしずまり、二階に電気がつき、やがて、下にも電気がつきまして、店の戸が内からあいて、寝巻姿の婆と女房は、きょときょと顔を出し、おまわりは苦笑しながら、どろぼうではない、と言って私を前面に押し出しましたら、婆はけげんな顔をして、これは誰ですか、こんな男は存じません、お前は知っているか、と娘に尋ね、娘も真顔で、とにかくあたしたちの家の者ではありません、と答えます。