自分は母が嫂に「こういう風におしよ」と云いつけたのを傍にいて聞いていた事がある。
自分はぼんやりしながらも、兄のこの眼附によって、和服の不断着より、嫂と芳江とを彼は待ち設けていたのだと覚った。
自分は寝惚けた心持が有ったればこそ、平気で彼の室を突然開けたのだが、彼は自分の姿を敷居の前に見て、少しも怒りの影を現さなかった。
自分は母が嫂に「こういう風におしよ」と云いつけたのを傍にいて聞いていた事がある。
自分はぼんやりしながらも、兄のこの眼附によって、和服の不断着より、嫂と芳江とを彼は待ち設けていたのだと覚った。
自分は寝惚けた心持が有ったればこそ、平気で彼の室を突然開けたのだが、彼は自分の姿を敷居の前に見て、少しも怒りの影を現さなかった。