私は高等学校一年の時、既に粋人たらむ事の不可能を痛感し、以後は衣食住に就いては専ら簡便安価なるものをのみ愛し続けて来たつもりなのである。
けれども私は、その身長に於いても、また顔に於いても、あるいは鼻に於いても、確実に、人より大きいので、何かと目ざわりになるらしく、本当に何気なくハンチングをかぶっても、友人たちは、やあハンチングとは、思いつきだね、あまり似合わないね、変だよ、よした方がよい、と親切に忠告するので、私は、どうしていいか判らなくなってしまうのである。
細工の大きい男は、それだけ、人一倍の修業が必要のようである。