突き当りには御簾が下りていて、中には何か在るらしい気色だけれども、奥の全く暗いため何物をも髣髴する事ができなかった。
その前には鶴と浪を一面に描いためでたい一双の金屏風が立て廻してあった。
縁女と仲人の奥さんが先、それから婿と仲人の夫、その次へ親類がつづくという順を、袴羽織の男が出て来て教えてくれたが、肝腎の仲人たるべき岡田はお兼さんを連れて来なかったので、「じゃはなはだ御迷惑だけど、一郎さんとお直さんに引き受けていただきましょうか、この場限り」と岡田が父に相談した。
突き当りには御簾が下りていて、中には何か在るらしい気色だけれども、奥の全く暗いため何物をも髣髴する事ができなかった。
その前には鶴と浪を一面に描いためでたい一双の金屏風が立て廻してあった。
縁女と仲人の奥さんが先、それから婿と仲人の夫、その次へ親類がつづくという順を、袴羽織の男が出て来て教えてくれたが、肝腎の仲人たるべき岡田はお兼さんを連れて来なかったので、「じゃはなはだ御迷惑だけど、一郎さんとお直さんに引き受けていただきましょうか、この場限り」と岡田が父に相談した。