攻撃が、中小都市に向けられ、甲府も、もうすぐ焼き払われる事にきまった、という噂が全市に満ちた。
市民はすべて浮足立ち、家財道具を車に積んで家族を引き連れ山の奥へ逃げて行き、その足音やら車の音が深夜でも絶える事なく耳についた。
それはもう甲府も、いつかはやられるだろうと覚悟していたが、しかし、久し振りで防空服装を解いて寝て、わずかに安堵するかせぬうちに、またもや身ごしらえして車を引き、妻子を連れて山の中の知らない家の厄介になりに再疎開して行くのは、何とも、どうも、大儀であった。
攻撃が、中小都市に向けられ、甲府も、もうすぐ焼き払われる事にきまった、という噂が全市に満ちた。
市民はすべて浮足立ち、家財道具を車に積んで家族を引き連れ山の奥へ逃げて行き、その足音やら車の音が深夜でも絶える事なく耳についた。
それはもう甲府も、いつかはやられるだろうと覚悟していたが、しかし、久し振りで防空服装を解いて寝て、わずかに安堵するかせぬうちに、またもや身ごしらえして車を引き、妻子を連れて山の中の知らない家の厄介になりに再疎開して行くのは、何とも、どうも、大儀であった。