叱りつけるほどの衒気もなかった。
ただ彼女が帰った後で、たちまち今までの考えが逆まになって、兄の精神状態が周囲に及ぼす影響などがしきりに苦になった。
だんだん生物から孤立して、書物の中に引き摺り込まれて行くように見える彼を平生よりも一倍気の毒に思う事もあった。
叱りつけるほどの衒気もなかった。
ただ彼女が帰った後で、たちまち今までの考えが逆まになって、兄の精神状態が周囲に及ぼす影響などがしきりに苦になった。
だんだん生物から孤立して、書物の中に引き摺り込まれて行くように見える彼を平生よりも一倍気の毒に思う事もあった。