いばらの奥深く掻きわけて行っても、すぐ傍を分別顔の、子供づれの家族がとおる。
ふたり切りになれない。
ふたりは、お互いに、ふたり切りになりたくてたまらないのに、でも、それを相手に見破られるのが羞しいので、空の蒼さ、紅葉のはかなさ、美しさ、空気の清浄、社会の混沌、正直者は馬鹿を見る、等という事を、すべて上の空で語り合い、お弁当はわけ合って食べ、詩以外には何も念頭に無いというあどけない表情を努めて、晩秋の寒さをこらえ、午後三時には、さすがに男は浮かぬ顔になり、
いばらの奥深く掻きわけて行っても、すぐ傍を分別顔の、子供づれの家族がとおる。
ふたり切りになれない。
ふたりは、お互いに、ふたり切りになりたくてたまらないのに、でも、それを相手に見破られるのが羞しいので、空の蒼さ、紅葉のはかなさ、美しさ、空気の清浄、社会の混沌、正直者は馬鹿を見る、等という事を、すべて上の空で語り合い、お弁当はわけ合って食べ、詩以外には何も念頭に無いというあどけない表情を努めて、晩秋の寒さをこらえ、午後三時には、さすがに男は浮かぬ顔になり、