ある時は仕官懸命の地をうらやみ、まさか仏籬祖室の扉の奥にはいろうとは、思わなかったけれど、教壇に立って生徒を叱る身振りにあこがれ、機関車あやつる火夫の姿に恍惚として、また、しさいらしく帳簿しらべる銀行員に清楚を感じ、医者の金鎖の重厚に圧倒され、いちどはひそかに高台にのぼり、憂国熱弁の練習をさえしてみたのだが、いまは、すべてをあきらめた。
何をさせても、だめな男である。
確認した。
ある時は仕官懸命の地をうらやみ、まさか仏籬祖室の扉の奥にはいろうとは、思わなかったけれど、教壇に立って生徒を叱る身振りにあこがれ、機関車あやつる火夫の姿に恍惚として、また、しさいらしく帳簿しらべる銀行員に清楚を感じ、医者の金鎖の重厚に圧倒され、いちどはひそかに高台にのぼり、憂国熱弁の練習をさえしてみたのだが、いまは、すべてをあきらめた。
何をさせても、だめな男である。
確認した。