父は、わたくしたち、あまり身を入れて聞いていないのに感附いて、いよいよ、むきになって、こまかく、ほんとうらしく、地図やら何やらたくさん出して、一生懸命にひそひそ説明して、とうとう、これから皆でその山に行こうではないか、とまで言い出し、これには、わたくし、当惑してしまいました。
まちの誰かれ見さかいなくつかまえて来ては、その金山のこと言って、わたくしは恥ずかしくて死ぬるほどでございました。
まちの人たちの笑い草にはなるし、朝太郎は、そのころまだ東京の大学にはいったばかりのところでございましたが、わたくしは、あまり困って、朝太郎に手紙で事情全部を知らせてやってしまいました。