夏目漱石 『行人』 しかしそれをこっちから聞く勇気はとても起らなかった。 兄の名も嫂の名も彼の前には封じられた言葉のごとく、自分の声帯を固く括りつけた。 表慶館で彼は利休の手紙の前へ立って、何々せしめ候……かね、といった風に、解らない字を無理にぽつぽつ読んでいた。 夏目漱石の名言・名文を読む 用例を検索する → シェア