けれども、また思ひ直し、こんな姿はしてゐても、やはり、見る人が見れば、どこかしら、きやしやな俤もあり、写真のシャッタアくらゐ器用に手さばき出来るほどの男に見えるのかも知れない、などと少し浮き浮きした気持も手伝ひ、私は平静を装ひ、娘さんの差し出すカメラを受け取り、何気なささうな口調で、シャッタアの切りかたを鳥渡たづねてみてから、わななきわななき、レンズをのぞいた。
まんなかに大きい富士、その下に小さい、罌粟の花ふたつ。
ふたり揃ひの赤い外套を着てゐるのである。
けれども、また思ひ直し、こんな姿はしてゐても、やはり、見る人が見れば、どこかしら、きやしやな俤もあり、写真のシャッタアくらゐ器用に手さばき出来るほどの男に見えるのかも知れない、などと少し浮き浮きした気持も手伝ひ、私は平静を装ひ、娘さんの差し出すカメラを受け取り、何気なささうな口調で、シャッタアの切りかたを鳥渡たづねてみてから、わななきわななき、レンズをのぞいた。
まんなかに大きい富士、その下に小さい、罌粟の花ふたつ。
ふたり揃ひの赤い外套を着てゐるのである。