太宰治 『陰火』 けれども右の耳朶がちぎれてゐて黒い痕をのこしてゐるので、ときどきは兇惡な顏にも見えた。 夏の暑いまさかりでも、彼は長い石段をてくてくのぼつて寺へかよふのである。 庫裡の縁先には夏草が高くしげつてゐて、鷄頭の花が四つ五つ咲いてゐた。 太宰治の名言・名文を読む 用例を検索する → シェア