月の光のとどかない深い海の、ゆらゆら動く昆布の森のなかにおとなしく眠り、龍宮の夢でも見てゐる態度こそゆかしいのでせうけれども、蟹は月にうかされ、ただ濱邊へとあせるのです。
砂濱へ出るや、たちまちおのが醜い影を見つけ、おどろき、かつはおそれるのです。
ここに男あり、ここに男あり、蟹は泡をふきつつさう呟き呟きよろばひ歩くのです。
月の光のとどかない深い海の、ゆらゆら動く昆布の森のなかにおとなしく眠り、龍宮の夢でも見てゐる態度こそゆかしいのでせうけれども、蟹は月にうかされ、ただ濱邊へとあせるのです。
砂濱へ出るや、たちまちおのが醜い影を見つけ、おどろき、かつはおそれるのです。
ここに男あり、ここに男あり、蟹は泡をふきつつさう呟き呟きよろばひ歩くのです。