神田の宿の薄暗い一室で、私は兄に、ひどく叱られていた。
昭和八年十二月二十三日の夕暮の事である。
私は、その翌年の春、大学を卒業する筈になっていたのだが、試験には一つも出席せず、卒業論文も提出せず、てんで卒業の見込みの無い事が、田舎の長兄に見破られ、神田の、兄の定宿に呼びつけられて、それこそ目の玉が飛び出る程に激しく叱られていたのである。
神田の宿の薄暗い一室で、私は兄に、ひどく叱られていた。
昭和八年十二月二十三日の夕暮の事である。
私は、その翌年の春、大学を卒業する筈になっていたのだが、試験には一つも出席せず、卒業論文も提出せず、てんで卒業の見込みの無い事が、田舎の長兄に見破られ、神田の、兄の定宿に呼びつけられて、それこそ目の玉が飛び出る程に激しく叱られていたのである。