いつか、柳田という、れいの抜け目の無い、自分で自分の顔の表情を鏡を見なくても常に的確に感知できると誇称している友人、兼、編輯部長に連れられて、新橋駅のすぐ近くの川端に建って在るおでん屋へ飲みに行きました。
そこもまた、屋台には違い無いのですが、奥が深く、土間にさまざまの腰掛けが並べられていて、それこそ、「お順につめる」と、十人くらいの客が楽に飲み食い出来たのです。
僕にとっては、その屋台に行くのは、その夜がはじめてでしたが、しかし、その店はあの辺の新聞記者や雑誌記者、また作家、漫画家などの社交場みたいになっていて、焼酎を飲み、煙草を吸い、所謂その日その日の「ホットニュウス」を交換し合い、笑い興じている場所だったのです。