僕にとっては、その屋台に行くのは、その夜がはじめてでしたが、しかし、その店はあの辺の新聞記者や雑誌記者、また作家、漫画家などの社交場みたいになっていて、焼酎を飲み、煙草を吸い、所謂その日その日の「ホットニュウス」を交換し合い、笑い興じている場所だったのです。
店の名前、といったようなものも別に無く、トヨ公とかトヨちゃんとか、その店のおやじの愛称らしいものが、その屋台の名前になっていました。
トヨ公は、四十ちかい横太りの、額が狭く坊主頭で、眼がわるいらしく、いつも眼のふちが赤くてしょぼしょぼしていましたが、でも、ちょっと凄味のきく風態の男でした。