みなさん私のロココ料理をたべて、私の腕前をほめてくれて、私はわびしいやら、腹立たしいやら、泣きたい気持なのだけれど、それでも、努めて、嬉しそうな顔をして見せて、やがて私も御相伴して一緒にごはんを食べたのであるが、今井田さんの奥さんの、しつこい無智なお世辞には、さすがにむかむかして、よし、もう嘘は、つくまいと屹っとなって、
「こんなお料理、ちっともおいしくございません。
なんにもないので、私の窮余の一策なんですよ」と、私は、ありのまま事実を、言ったつもりなのに、今井田さん御夫婦は、窮余の一策とは、うまいことをおっしゃる、と手を拍たんばかりに笑い興じるのである。