その夜は大工さんはたいへん御機嫌がよろしくて、晩酌などやらかして、そうして若い小柄なおかみさんに向かい、『馬鹿にしちゃいけねえ。
おれにだって、男の働きというものがある』などといって威張り時々立ち上がって私を神棚からおろして、両手でいただくような恰好で拝んで見せて、若いおかみさんを笑わせていましたが、そのうちに夫婦の間に喧嘩が起り、とうとう私は四つに畳まれておかみさんの小さい財布の中にいれられてしまいました。
そうしてその翌る朝、おかみさんに質屋に連れて行かれて、おかみさんの着物十枚とかえられ、私は質屋の冷くしめっぽい金庫の中にいれられました。