ひとりで渓流の傍の岩風呂にからだを沈めて、心まずしきものは幸いなるかな、心まずしきものは幸いなるかな、となんども呟いてみましたが、そのうちに大きい声で、いい仕事をしろ、馬鹿野郎、いい仕事をしろ、馬鹿野郎と言うようになりました。
それから、小さい声で、いい仕事の出来るように、いい仕事の出来るように、と呟いて、ひどく悲しくなって真暗い空を仰いで、もっとうんと小さい声で、いい仕事をさせて下さい、と囁くように言いました。
渓流の音だけが物凄くて、――渓流の音と言えば、すぐにきょうのお昼の失敗を思い出し、首筋をちぢめます。