ただ、まごまごしている。
たまに私の家に訪れて来る友人は、すべて才あり学あり、巧まずして華麗高潔の芸論を展開するのであるが、私は、れいの「天候居士」ゆえ、いたずらに、あの、あの、とばかり申して膝をゆすり、稀には、へえ、などの平伏の返事まで飛び出す始末で、われながら、みっともない。
かくては、襖の蔭で縫いものをしている家の者に迄あなどられる結果になるやも知れぬという、けち臭い打算から、私は友人を屋外に誘い出し、とにもかくにも散策を試み、それでもやはり私の旗色は呆れる程に悪く、やりきれず、遂には、その井の頭公園の池のほとりの茶店に案内するという段取りになるのであった。