けれども、私は、いつの日か、一丈ほどの山椒魚を、わがものにしたい、そうして日夕相親しみ、古代の雰囲気にじかに触れてみたい、深山幽谷のいぶきにしびれるくらい接してみたい、頃日、水族館にて二尺くらいの山椒魚を見て、それから思うところあってあれこれと山椒魚に就いて諸文献を調べてみましたが、調べて行くうちに、どうにかして、日本一ばん、いや日本一ばんは即ち世界一ばんという事になりますが、一ばん大きな山椒魚を私の生きて在るうちに、ひとめ見たいものだという希望に胸を焼かれて、これまた老いの物好きと、かの貧書生(ひどい)などに笑われるのは必定と存じますが、神よ、私はただ、大きい山椒魚を見たいのです、人間、大きいものを見たいというのはこれ天性にして、理窟も何もありやせん!
(本音に近し)それは、どのように見事なものだろう、一丈でなくとも六尺でもいい、想像するだに胸がつぶれる。
まず今日は、これくらいにして置きましょう。