しまいには世の中で自分ほど修養のできていない気の毒な人間はあるまいと思う。
そういう時に、電車の中やなにかで、ふと眼を上げて向う側を見ると、いかにも苦のなさそうな顔に出っ食わす事がある。
自分の眼が、ひとたびその邪念の萌さないぽかんとした顔に注ぐ瞬間に、僕はしみじみ嬉しいという刺戟を総身に受ける。
しまいには世の中で自分ほど修養のできていない気の毒な人間はあるまいと思う。
そういう時に、電車の中やなにかで、ふと眼を上げて向う側を見ると、いかにも苦のなさそうな顔に出っ食わす事がある。
自分の眼が、ひとたびその邪念の萌さないぽかんとした顔に注ぐ瞬間に、僕はしみじみ嬉しいという刺戟を総身に受ける。