日本のお伽噺よりも、外国の童話が好きであった。
「三つの予言」というのであったか、「四つの予言」というのであったかいまは忘れたが、お前は何歳で獅子に救われ、何歳で強敵に逢い、何歳で乞食になり、などという予言を受けて、ちっともそれを信じなかったけれども、果してその予言のとおりになって行く男の生涯を描写した童話は、たいへん気にいって二、三度読みかえしたのを記憶している。
それからもう一つ、私の幼時の読書のうちで、最も奇妙に心にしみた物語は、金の船というのであったか、赤い星というのであったか、とにかくそんな名前の童話雑誌に出ていた、何の面白味も無いお話で、或る少女が病気で入院していて深夜、やたらに喉がかわいて、枕もとのコップに少し残っていた砂糖水を飲もうとしたら、同室のおじいさんの患者が、みず、みず、と呻いている。