秋の、寒い夜でした。
自分は、ツネ子(といったと覚えていますが、記憶が薄れ、たしかではありません。
情死の相手の名前をさえ忘れているような自分なのです)に言いつけられたとおりに、銀座裏の、或る屋台のお鮨やで、少しもおいしくない鮨を食べながら、(そのひとの名前は忘れても、その時の鮨のまずさだけは、どうした事か、はっきり記憶に残っています。
秋の、寒い夜でした。
自分は、ツネ子(といったと覚えていますが、記憶が薄れ、たしかではありません。
情死の相手の名前をさえ忘れているような自分なのです)に言いつけられたとおりに、銀座裏の、或る屋台のお鮨やで、少しもおいしくない鮨を食べながら、(そのひとの名前は忘れても、その時の鮨のまずさだけは、どうした事か、はっきり記憶に残っています。