喫茶店にはいり、牛乳を飲みました。
「あなた、払うて置いて」
自分は立って、袂からがま口を出し、ひらくと、銅銭が三枚、羞恥よりも凄惨の思いに襲われ、たちまち脳裡に浮ぶものは、仙遊館の自分の部屋、制服と蒲団だけが残されてあるきりで、あとはもう、質草になりそうなものの一つも無い荒涼たる部屋、他には自分のいま着て歩いている絣の着物と、マント、これが自分の現実なのだ、生きて行けない、とはっきり思い知りました。
喫茶店にはいり、牛乳を飲みました。
「あなた、払うて置いて」
自分は立って、袂からがま口を出し、ひらくと、銅銭が三枚、羞恥よりも凄惨の思いに襲われ、たちまち脳裡に浮ぶものは、仙遊館の自分の部屋、制服と蒲団だけが残されてあるきりで、あとはもう、質草になりそうなものの一つも無い荒涼たる部屋、他には自分のいま着て歩いている絣の着物と、マント、これが自分の現実なのだ、生きて行けない、とはっきり思い知りました。